歯列矯正治療の仕組み
美しい歯並びに憧れ、ワイヤーやマウスピースで歯を動かす歯列矯正治療を受けたいと思っても、忙しくて通院する時間が確保できず、また治療期間の長さから断念してしまう方も少なくありません。
そもそも歯列矯正とは、ワイヤーやマウスピースを使用して少しずつ歯に力をかけることで、歯を正しい位置へ少しずつ動かしていく治療です。一気に強い力をかけて短期間で大きく歯を動かすと、後戻りしてしまうなどのリスクが大きいため、どうしても長い期間を掛けて少しずつ歯を移動させてゆく必要があります。
しかし、歯が動きやすい体質の方であれば、同じ治療方法でも短期間で治療が完了することもあります。こちらではその「歯列矯正で歯が動きやすい人」反対に「歯列矯正で歯が動きにくい人」の特徴について説明・解説していきます。
歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴
顎の骨や歯が成長している途中の子供
歯が生えている顎骨は、思春期が終わる頃くらいまで成長すると言われています。思春期が始まる時期が女性に比べて男性は遅いので、男性は成長期間が長くなり、二十歳頃まで成長が続く場合もあります。
この顎骨の成長を利用して、歯が生えるスペースを確保したり、歯の向きをまっすぐに治したりできるのが子供の頃に行う矯正治療です。
成長途中の顎骨に生えている歯はわずかな力でも動かしやすく、大人の矯正治療に比べて早くスムーズに終る場合が多いのです。
しかし、わずかな力で歯が動くということは、頬杖や唇・舌の癖などによる力で歯が悪い方向へも動きやすいということです。
元の歯並びがさほど悪くない人
無理に強すぎる力をかけて短期間に歯を大きく動かしてしまうと、骨の再生が追いつかずに顎骨や歯根に大きな負担を掛けてしまったり、治療完了後の後戻りの原因となったりしてしまいます。
したがって、歯列矯正で歯を動かせるのは、およそひと月に0.3~0.5ミリほどです。
前歯1本を正しい位置に動かすにしても、0.5ミリだけ動かせばいい人もいれば、2ミリは移動させないといけないという状態の人もいます。
治療を始める前の歯並びがあまり乱れておらず、元の歯並びがさほど悪い状態でもない人は、動かす長さも短くて済むため、治療期間も短くなります。
舌癖や頬杖、咬合力が強すぎるなど問題のある癖がない人
人の頭の重さは約4~6キロと言われています。その頭を支えるために、頬の上から手で歯を押すことになってしまう頬杖は、歯にとても大きな力が加わります。ワイヤー矯正で歯を動かすときに歯に加わる力は、症状にもよりますがおよそ100グラム以下です。
何十倍もの強い力が歯にかかる頬杖は、歯並びを悪くしてしまう代表的な悪い癖の一つです。
せっかく歯列矯正を始めても、頬杖をつく癖があるために全く歯並びが改善しなかったという症例もあります。
うつ伏せで枕に顎をついて本を読んだりスマホを触ったりするなども、頬杖と同じく歯並びや顎骨にとっては悪い癖です。
他にも前歯を裏から舌で強く押す癖、唇を巻き込んで噛む癖など、歯に力を加える癖は歯列矯正治療の妨げとなり、治療期間が伸びてしまいます。
新陳代謝が活発な人
歯に力を加えて動かしたい方向へと歯を移動させる歯列矯正治療ですが、ただ歯が移動しているわけではありません。
骨の中に埋まっている歯の根っこ部分には、歯根膜(しこんまく)という厚さ0.2ミリほどの繊維組織があります。歯根膜は歯の衝撃を吸収し、クッションとなる大切な役割を持っています。
歯に圧力をかけたり引っ張ったりして歯根膜に力が伝わると、移動させたい方向の歯根膜は縮み、このときに体は縮んだ側の歯根膜の厚みを元に戻そうと、骨を溶かす(吸収する)細胞を生み出します。反対に、引っ張られる側の歯根膜は伸び、その伸びた分だけ骨で埋めようと、体は骨の細胞を新しく生み出します。
体の代謝が活発な方は、こういった骨の吸収と再生も活発なので、歯が動きやすい傾向にあります。
矯正治療中に十分な睡眠や健康的な食事など、健康状態に気をつけてみるのも良いでしょう。
歯列矯正で歯が動きにくい人の特徴
上記の歯が動きやすい人と逆の特徴を持つ人は、歯が動きにくいと言えます。つまり、歯並びに大きな乱れがあり、頬杖をつくなど口元や歯に大きな力がかかる癖のある新陳代謝が悪い大人の方は、歯が動きにくい場合が多いのです。
以下はさらに歯が動きにくい人の特徴です。
医師の指示を守れない人
歯列矯正は、院内で行う調整だけではなく、患者様がご自宅で行う行為もとても大切です。矯正では歯を動かすために必要なお願いをすることがあります。マウスピース矯正でも、「必ず○時間は付けっぱなしにしておくように」といった医師からの指示があります。リテーナーという動いた歯を保持するために装着する器具も、患者様ご自身で付け外ししていただかなければなりません。
そのため、面倒くさがって医師からの指示を守ることができない人は、当然計画通りに歯が動かず、治療が長引いてしまいます。
歯が動きにくいアンキローシス(骨性癒着)とは
「歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴-新陳代謝が活発な人」の部分でご説明した歯根膜がなく、歯と顎骨が結合した状態のことを「アンキローシス(骨性癒着)」といいます。
アンキローシスになる原因は?
原因を特定することは難しいケースも多いですが、転んだりボールが顔に当たったりして歯をぶつけた際に、歯根膜を損傷してしまったことが原因で起こることがあります。子どもの頃の怪我でアンキローシスになっていたというケースも見られます。
歯根膜を損傷しても痛みを感じず、食事の際も違和感を覚えることもないため、気づかない人もたくさんいます。
アンキローシスになっているかどうかは、レントゲンでの診断や、歯を叩いたときに鳴る音で診断しますが、どちらも判断が困難なので、「矯正治療や抜歯をしようとしてみて初めて分かった」という場合が多い症状です。
アンキローシスの問題点
骨と結合してしまっている歯は動かないので、歯列矯正の際には問題となります。アンキローシスが起こった歯を動かすためには、一度歯を脱臼させ、歯が動けるようにするか、動かさずにセラミックなどの被せもので見た目を整えるかなどの方法で治療することになります。
将来的には歯が吸収され、ぐらついてきたり抜けたりする可能性が高いですが、どれほどの期間で吸収されるかは不明です。
歯列矯正における、ご自分の最終的な目標はどうなることなのか、その目標のためにはどのような治療方法が適しているのかといった点を、きちんと相談に乗って解決方法を提案してくれる歯科医院を選ぶことが重要です。
ご安心ください
歯が動きにくい人の特徴に複数当てはまってしまったからといって、必ずしも治療期間が長くなってしまうということはありません。治療を行う歯科医師の技術力によって、動きにくい歯でも短い治療期間で理想の歯並びへと変えることができます。
歯列矯正治療は医師の技術や知識に大きく結果が左右される治療です。当院では、動きにくい歯の患者様も数多く治療してきた実績がありますので、様々なケースに柔軟に対応することができます。
歯列矯正で悩んでおられる方は、ぜひ博多プライベート歯科にお任せください。
まとめ
歯が動きやすい人の特徴
- 1.顎の骨や歯が成長している途中の子供
- 成長途中の顎骨に生えている歯はわずかな力でも動かしやすく、大人の矯正治療に比べて早くスムーズに終る場合が多い。
しかし、頬杖や唇・舌の癖などによる力で歯が悪い方向へも動きやすい。
- 2.元の歯並びがさほど悪くない人
- 歯列矯正で歯を動かせるのは、およそひと月に0.3~0.5ミリほど。
治療を始める前の歯並びがあまり乱れておらず、元の歯並びがさほど悪い状態でもない人は、動かす長さも短くて済むため、治療期間も短くなる。
- 3.舌癖や頬杖、咬合力が強すぎるなど問題のある癖がない人
- 強い力が歯にかかる頬杖は、歯並びを悪くしてしまう代表的な悪い癖の一つ。
他にもうつ伏せで枕に顎をついて本を読んだりスマホを触ったりすること、前歯を裏から舌で強く押す癖、唇を巻き込んで噛む癖など、歯に力を加える癖は歯列矯正治療の妨げとなり、治療期間が伸びてしまう。
- 4. 新陳代謝が活発な人
- 体の代謝が活発な方は、骨の吸収と再生も活発なので、歯が動きやすい傾向にある。
歯列矯正で歯が動きやすい人・動きにくい人についておわかりになっていただけたでしょうか。もし動きにくい人の特徴に当てはまってしまったとしても、個人差があるため必ず治療に時間がかかってしまうことも、治療が難しいということでもありません。
歯が動きにくい人でも技術力を持つ歯科医師が治療を行えば、長期的な治療時間をかけることなく美しい歯並びを実現することができます。
博多プライベート歯科ではこのような「歯が動きにくい」患者様の治療経験も豊富なので、その経験から得た技術や知識を基に、患者様にご満足いただける治療をご提供いたします。
歯並びについてお悩みの方は、ご自分の歯の状態を見るための無料カウンセリングだけでもお気軽にご相談ください。