こんにちは。博多プライベート歯科のドクター田中です。
小児歯科学雑誌に掲載されていた症例について、院内勉強会で共有したのでこちらでもご紹介いたします。
1歳3か月の男の子が舌を噛んでしまうということで、日本歯科大学附属病院小児歯科を受診した症例です。
生後9か月頃から下の前歯が生え始めて以来、睡眠中に舌を頻繁に噛むようになったとのことです。
周産期や健康面に特別な問題はなく、指しゃぶりなどの習慣もなかったため、
家族歴を確認したところ、両親に歯並びの乱れや交叉咬合があることがわかりました。
口の中を確認したところ、下の前歯が混み合って生えており、舌の先端部分に潰瘍ができていました。
また、下顎の筋肉が自分の意志とは関係なく動いてしまう「不随意運動」と呼ばれる症状や、
刺激に対して歯を強く噛んでしまう「咬反射」も見られました。舌を噛む頻度が多いため、
睡眠時の「ミオクローニア」という無意識の筋肉の痙攣が原因ではないかと考え、
精密検査を行いましたが、脳波には特に異常は見つかりませんでした。
治療方針としては、年齢が低いために保護装置を装着するのが難しかったことから、
代わりに「筋刺激訓練法」を応用した歯肉のマッサージと、
舌の位置を正しく保つためのトレーニングを保護者の方に指導しました。
ご自宅でこの訓練を続けることで、口の感覚が整い、舌を噛む頻度が徐々に減っていくことが期待されます。
お子さんに限らず、歯並びや噛み合わせの問題はさまざまな年齢で起こり得ます。
矯正治療が必要かどうかは、年齢や症状により異なりますが、早めに対応することで将来のトラブルを防ぐことができます。
歯並びや口腔機能にご不安がある方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
私たち専門の歯科医師がしっかりとサポートいたします。